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第六十話 悪夢の夜のあとで

Autor: marimo
last update Última actualización: 2025-12-11 08:31:59

 ――まぶしい。

 まるで白いフィルターを通したような強烈な光が、閉じたまぶたの裏に差し込んできていた。

 玲はゆっくりと目を開けた。窓から差し込む南国の朝日は、優しいというより容赦がない。現地時間はすでに昼前。時計の針は十一時を少し回っていた。

「……寝過ぎた」

 身体を起こすと、隣で小さくうめき声がする。

 真っ白なシーツに包まっているのは――麻美だった。

(そういえば、昨夜……)

 激しい緊張。 鷲尾に襲われた恐怖。

 そしてリュー・カイと黒装束の部隊が現れ、鷲尾を連れ去った。

 すべてが現実離れしていて、まるで映画のワンシーンのようだった。

 そのあと麻美は、涙混じりに言った。

『玲……お願い、一人でなんて眠れないよ……同じベッドに入ってもいい?』

 玲は笑って受け入れたが、麻美は本当に怯えていた。

 気づけば、麻美は玲に腕を絡めたまま眠り、朝まで離れなかった。

 あの恐怖を考えれば無理もない。

 玲自身も、眠りに落ちた瞬間――兄の名前を呼びそうになっていた。

「龍一兄さん……」

 小さく呟いてしまう。

(兄さんなら、全部……片づけてくれる)

 そう思うと、胸がじんわり熱くなる。

 そして蓮――蓮が無事でいることも、兄の動きから察していた。

(蓮……会いたい……)

 ふと、麻美が寝返りを打ち、目をしぱしぱさせて起きた。

「……ん……玲……? 朝?」

「昼近いけどね」

「えっ……そんなに寝たの?」

「うん。そりゃあれだけのことがあったら……」

 麻美は思い出した瞬間、肩を震わせた。

「昨日の……あれ……夢じゃないよね……?」

「夢じゃない。でも、もう大丈夫。カイさんたちが全部……」

「……そっか」

 麻美は胸に手を当て、ようやく安堵の息を吐いた。

「玲が無事でよかった……私も……」

 玲は麻美の頭を軽く撫で、穏やかに言った。

「じゃあ、まずはお昼食べよう? 何か温かいものでも」

「そうだね……お腹すいた」

 二人はようやくベッドを抜け出し、シャワーを浴び、それぞれラフなリゾート服に着替えた。

 雲ひとつない青空。 波の音。 ゆったりとした風。

 昨夜の地獄のような光景が、嘘のようだった。

 昼食をとったあと、二人はホテルビーチのパラソルの下でジュースを飲みながらくつろいでいた。

「ソーダ、美味しい……」

 麻美はストローをくわえながら
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